生活保護と老年者
「生活保護」については知識が乏しかったので、PHP新書の大山典宏「生活保護VSワーキングプア」を読んでみた。非常に啓発されたし、素晴らしかった。多くの本は「反行政、反福祉事務所」で凝り固まっており納得感が薄いのに対し、バランスのとれた筆致がよかった。多くの問題点の指摘に賛同するが、子供が最大の被害者というのは留保したい気持ちがある。淡々と事実による告発をしているのに、この部分だけトーンが変わっている。大山の解釈が間違いというわけではないのだろうが、それならば、児童福祉分野との共同作業が必要なので、そちらの方へ論旨を展開したほうがよかった、と思う。
先日、老齢加算、母子加算の廃止についての訴えが退けられたが、この本を読んでいたこともあり、当然のように受け止められた。母子加算については復活もありうるし、それはある部分賛成だが、老齢加算には何も根拠はないという判決は、わが意を得た感じがする。
今後、益々老齢の被保護者が増えてくるのは容易に想像される。また、無年金者が増える何十年後にはどうなるかが心配だ。将来世代への負債をできる限り減らす必要があるが、共産党を初めとする「高齢者は可哀そう」「貧困者がこんなにいる」というキャンペーンによって、政治家どもの票獲得のための泥試合になっていて、まともな議論が行われていない。
2006年から1年以上勤続の雇用者で年収が200万以下の人が1千万人を超えている。そのため「格差が広がった」とか「貧困化が進んでいる」とか言われたが、「格差」について言えば98年以降同1千万超の人数も減ってきており、「2極化」が進んでいるかのような主張は正しくない。また、近年の当該雇用者の増加も、新しく雇われた人たちが当てはまるのであって、既存の雇用者の賃金が低下したとは考えにくい。
さらに言えば、単身者なりで自立して生活している人と、夫なり親なりの庇護下で生活している人とは一緒にするべきでない。もちろんこの年収であっても、妻がいたり子供がいたりする人もいることはわかるのだが、そうであれば、そうした自立した人たちがどれくらいいるのかを把握した上で議論すべきであろう。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
