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2008年12月

2008年12月28日 (日)

生活保護と老年者

 「生活保護」については知識が乏しかったので、PHP新書の大山典宏「生活保護VSワーキングプア」を読んでみた。非常に啓発されたし、素晴らしかった。多くの本は「反行政、反福祉事務所」で凝り固まっており納得感が薄いのに対し、バランスのとれた筆致がよかった。多くの問題点の指摘に賛同するが、子供が最大の被害者というのは留保したい気持ちがある。淡々と事実による告発をしているのに、この部分だけトーンが変わっている。大山の解釈が間違いというわけではないのだろうが、それならば、児童福祉分野との共同作業が必要なので、そちらの方へ論旨を展開したほうがよかった、と思う。

 先日、老齢加算、母子加算の廃止についての訴えが退けられたが、この本を読んでいたこともあり、当然のように受け止められた。母子加算については復活もありうるし、それはある部分賛成だが、老齢加算には何も根拠はないという判決は、わが意を得た感じがする。

 今後、益々老齢の被保護者が増えてくるのは容易に想像される。また、無年金者が増える何十年後にはどうなるかが心配だ。将来世代への負債をできる限り減らす必要があるが、共産党を初めとする「高齢者は可哀そう」「貧困者がこんなにいる」というキャンペーンによって、政治家どもの票獲得のための泥試合になっていて、まともな議論が行われていない。

 2006年から1年以上勤続の雇用者で年収が200万以下の人が1千万人を超えている。そのため「格差が広がった」とか「貧困化が進んでいる」とか言われたが、「格差」について言えば98年以降同1千万超の人数も減ってきており、「2極化」が進んでいるかのような主張は正しくない。また、近年の当該雇用者の増加も、新しく雇われた人たちが当てはまるのであって、既存の雇用者の賃金が低下したとは考えにくい。

 さらに言えば、単身者なりで自立して生活している人と、夫なり親なりの庇護下で生活している人とは一緒にするべきでない。もちろんこの年収であっても、妻がいたり子供がいたりする人もいることはわかるのだが、そうであれば、そうした自立した人たちがどれくらいいるのかを把握した上で議論すべきであろう。

 

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2008年12月24日 (水)

国保保険料の調査(毎日新聞)への感想

 後期高齢者医療制度も協会けんぽ制度もすべては国保制度をどう維持するかのためのものである。言い換えれば、国保を維持するためにどうしたらいいのかという議論の結果、二つは出てきている。

 後期高齢者制度ができたため、国保の肩の荷がおりたのかとおもいきや、そうではないということを示しているのが今回の調査のようだ。半分近くの市町村では保険料を上げているらしい。特にサンプルのうち、40万以上の保険料を課しているところはほとんどが、大幅なアップとなっている。20万近くアップしたというところもあるらしい。

 しかし、よく問題点を整理してみると、今回の保険料アップには、国保自体の問題以外に当該市町村の財政問題が関係していることがわかり、純粋に国保の財政上の問題が今年あらわれたというのは、正しくないことがわかる。毎日もそのことには触れていないこともないが、問題整理の点で不満が残る記事になっている。

 この記事を読んだときの最初の感想は「何かの間違いではないか」というものであった。しかし、寝屋川市のHPで確認してみると、介護を含めた保険料は確かに50万4千円になるので、正しいことはわかった。「所得200万」というのが不審のもとだが、「給与収入」だと311万に当たるので、家計がなりたたないわけではないような感じもしないでもなくなった。自営業の場合も配偶者への給与などの必要経費があるから、給与所得者並の収入があるのだと考えて、少しは納得感はあった。

 ただ、それでも、余りにも負担が大き過ぎる。これでは誰も払おうとしないだろう。仮に平均額である32万であっても、国民年金を二人分払えば合わせて67万円である。所得税や市民税はかなり少額とはいえ、消費税を含め年収の3割前後を租税公課に費やさねばならない人たちはとても貯えを増やすことはできまい。

 一方で65歳以上の年金受給者の場合には、国民年金の負担はない上に、介護保険料も少額になる場合が多い。将来のために貯金する必要もない。ということは、余りに「ご老人」に有利になっていることを示している以外ではない。前期高齢者の分は被用者健保からの支援があるとはいえ、一方で後期高齢者への支援金を払っているのだから、さほど財政に貢献していないと思われる。

 その結果、現役の国保加入者に大きなしわ寄せがきているというのが実態なのだろう。市町村ではなくもっと大きな単位での枠組みを作り、合理的な財政支援が必要であることは明らかだ。現在の改革の方向性に沿って早急に対応する必要がある。

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2008年12月19日 (金)

遺族年金を非課税にする理由はない

 後期高齢者制度の大騒ぎも一息ついている。この制度の実態が各員に浸透し文句も言えなくなってきたのだろう。各県の広域連合がHPでこの制度を説明している。自分の保険料の把握も容易になった。市町村の中には74歳以下の国保保険料を引き下げたところもある。後期高齢者のみならず、過半の関係者に好ましいものとなっているはずで、これを廃止しようとすれば、またまた無用な混乱を引き起こすことになるのは必至である。

 ところで、後期高齢者医療制度の保険料計算では、遺族年金や障害年金は収入とみなさないということになっているようだ。これらが非課税だからというわけである。

 しかし「遺族年金を非課税とすること」=「所得と考えないこと」については、私は反対だ。もちろん若い時期に夫と死別したケースなどは非課税でよいのだが、65歳を超えたときには、自分の老齢年金と同じと考えるべきだ。それを片方は課税対象収入で片方は非課税としている。元々は、一家の稼ぎ手が死んで残された家族から税金を取るのは忍びないという考えのものだったが、現在では大部分が老後に夫と死別した妻の年金になっており、死別後30年も生き続けることもまれではなくなった。30年と言えば一つの別の人生であり、夫の影響下から分離されているのが実態である。つまり「忍びない」状態ではない、ということだ。課税基準を超えた金額には当然所得税が課されてよいはずである。

 平成19年4月よりこの年金制度に訂正が入り、自分の老齢厚生年金がある場合には、それを満額受給した上で、さらに遺族厚生年金の方が多い場合には差額をもらうことになった。だが、既に遺族年金を受給している人たち(65歳以上)では、ほとんどが「遺族厚生年金・遺族共済年金」あるいは旧制度の「遺族年金」の部分であるため課税されないケースが多いと考えられる。

 後期高齢者医療制度で所得の計算をするときにもこのことが大きな影響を与える。老齢一人住まい(女子)の世帯の場合を考えてみる。

  A 自分の基礎年金70万円、老齢厚生年金100万円 計170万円

    B 夫遺族厚生年金100万(超える部分90万)、自分の基礎年金70万 、自分の老齢厚生年金10万 計170万

 Bの場合、均等割りは15%負担だけで年6千円前後であるが、Aの場合は168万超のため均等割が50%負担(2万円くらい)プラス所得割50%負担(7千円くらい)となり、2万円程度の差が生まれる。

 もちろん、Aの場合も自分の年金収入が153万より少なくなれば、6千円のミニマム額の負担になり、Bと同じ負担になるのだが、今後は老齢基礎年金の受給額が80万くらいに増えていく可能性は大きいし、老齢厚生年金も独身の女性が35年勤めれば100万を超えるケースが多数派になって行くから、無理な例示ではない。そしてそうした女性たちや独身を通した男たちと、結婚をして多少は多くの幸福を得た寡婦たちとの差別はなくす必要があるのではないか?多くの場合、寡婦たちは子供にも恵まれ何らかの援助も期待できる状況にあるのだから、当然であろう。

 老齢を支給事由とする年金も10数年前まではすべて非課税だった。それを享受できたのが75歳以上の世代である。共産党などは「ご老人は可哀そう」だからそれにも反対だった。「困った人たち」としか言いようがない。

 なお、一言付け加えておくと、社会保険の被扶養者の収入を見るときは、遺族年金も収入に算定しているので、後期高齢者医療制度の所得算定がそれと違う基準を取るのは矛盾していると言える。

 

 

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2008年12月11日 (木)

協会けんぽ・日経続報

 与党による1000億円召し上げ法案は廃案になると昨日の日経は伝えていた。この法案、財政状態のいい700組合から750億円、共済組合から250億円を召し上げ、政管健保につぎ込むというものだったらしい。これ自体の考え方は私は賛成だが、後期高齢者支援金や前期高齢者納付金などで疲弊している健保組合の大反対は必至だから、今年度の導入は最初から厳しかったような気がする。ところが厚労省は、今年の2200億円の削減の一部にこれを予定していた。「絵に描いたモチ」であることは官僚側はわかっていたと思う。政治家側が理解していなかったのだ。

  この法案は単年度の特例だった。社会保障費削減のつじつま合わせの感が強い。もっと本格的な手を講じて”召し上げ”を図るべきというのが私の考えだ。その理由は、一部の健保組合や共済組合の加入者と国保や政管健保の加入者に余りにも大きな格差が生じていることである。それを是正するには、単年度の小手先の対応ではできない。

 例えば「扶養家族」基準の見直しである。組合健保で財政に余裕のある健保の多くは、組合員の年齢が低いことや健康管理事業の積極的な推進の他に、扶養家族基準の厳しい適用を行って給付金額を圧縮している。中には法令違反もあると思われるが、法令自体も曖昧であるとともに、被扶養者の申請を却下された被保険者も裁定あるいは裁判まで行ってまで自分の要求を通す気にならない、というのが一般的だ。要求が通っても受けるメリットは余りないからだ。というのは、被扶養者の動向は毎年変わってくるから、一定の基準以下にあるかどうか常にチェックするのも簡単ではなく、わずらわしさに捉われるより、諦めてしまうことが多いということである。特に学校を卒業した子供(ニート、フリーター)や親の収入把握はそう簡単ではない。

 しかし、協会けんぽに毎年そのようなチェックをいれる能力はないため、甘い扶養認定が続けられていると思われる。このような矛盾を避けるには、「被扶養者」を一定収入以下の配偶者と23歳以下の子供、障害者などに限定するべきなのだ。もちろんその影響で国保の財政は悪化するかも知れないが、「協会けんぽ」側はスッキリする。その後で組合、共済、協会から国保へ支援させればいい。そうでないと、組合加入の被保険者だけがいい目を見続けることになる。

 第二の改革案は、事業主及び同世帯の家族の役員は、健保を脱退させて純粋に従業員の健保組合にすべきだということだ。脱退したものたちは国保に入ればいいのである。一部の業種では国保組合というものがあるが、それを拡充することも考えられる。理由は中小企業の事業主は利益を自らの収入と一体化しているものであり、法人からの給与をもらっているわけではないから、標準報酬の考え方に合わない、ということだ。前年の所得に基づいて課される国保の方に合致している。もちろん中小と言っても株式会社でありサラリーマン的経営者が事業主となっていることも多々あると思うので、どこかで線引は必要だが、基本的考え方を変えるべきだ。

 このことは年金と政管健保の改ざんの解決策にも通じる。法人であればすべて厚生年金に加入し、政管健保に加入するなどというのは無理があった。事業主や役員は国保・国年に移ることを可能にし、従業員は厳しく加入を義務付けるべきなのだ。

 この二つの改革によって500万人ほど加入者を減らすことができるだろう。それが財政にプラスになるかどうかはわからないが、少なくとも国庫負担は減る。そうした改革が必要だと思う。

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2008年12月 9日 (火)

協会けんぽ(政管健保)はどうですか?

 今日の日経新聞朝刊に協会けんぽの保険料率について09年度は引き上げない方向となったという記事が出た。歓迎すべきことと思った。ところが、朝日、読売、毎日の三大新聞は未だにこのスクープをフォローしていない。夕方になって共同通信がやっと追いかけ記事を配信しただけである。

 ネットを検索してみて毎日新聞には12月5日の朝刊で「組合健保に1000億の協会けんぽへの援助金を求めることを与党が検討」という記事があったことを知った。この話しは9月頃にもあったが、「後期高齢者制度」を廻る情勢判断から今年度は見送りになっていたものだ。それには、ご丁寧に「保険料率アップ額の引き下げに700億、政府負担の圧縮に300億」と書いてある。

 毎日と日経の記事の内容は正反対である。協会けんぽの財政がひっ迫していないのに、組合健保から援助を召し上げることはできないから、日経の記事が正しければ毎日の記事は「何だったのか?」ということになる。

 現在の私の感じでは「医療費が思ったほどかかっていない」という日経の記事が正しいように思える。なぜなら、「後期高齢者制度」に移った200万人の「被扶養者」のうち6割は「政管健保」の「被扶養者」だったと推定できるからだ。その120万人の75歳以上のご老人の医療費が「協会けんぽ」から払いだされなくなったのだから、減って当然である。また、数は多くないと思うが「被保険者」であった人もいたはず。これらの分は、厚労省も前もっては予測できなかったのではないかと推察される。そのためここ数年の増加傾向を心配して予防線を張っていたのだろう。

 但し、医療費の実態はすぐには出てこないので簡単には判断できないから、どうして日経の記事になったのか不透明である。その辺りを報道してもらえればありがたいと思う。

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2008年12月 5日 (金)

標準報酬月額改ざん問題(改の2)

 昨日の参院委員会での舛添大臣の回答では、自宅を訪問した2524人の内、1408人が「記録に誤りがある」と言ったらしい。それで「56%の記録に誤り」などと言っている報道が流れているが、マスコミは相変わらずピントが外れている。限りなくクロに近いグループなのだから、むしろ意外と少ないと思うべきであろう。それを意識してか切り上げて「6割に誤り」と言っているところもあった。

 一方で訪問した人の内訳は事業主・役員1675人従業員795人などだったとしているが、私が知りたいのは「従業員で記録が間違っている」と言った人が何人いたかということ以外でない。そしてそれらの人がどの事業所に属し、それを管轄していた社保事務所はどこかということである。

 年金について言えば、救済すべきは従業員だけである。事業主・役員については前回指摘したように、政管健保の保険料だけ払ってもらえばいいのである。そういう意味で「全貌」が明らかになる必要は優先順位が低いはずだ。

 廃業に絡んだ改ざんでは従業員が負担した保険料は引き下げられた標準報酬に基づくものではない、と容易に推定されうる。ところが、総務省第三者委員会の裁定を見ていると、問題の事業所が明確になっているのに、今までの裁定の中にその事業所の従業員だったから救済するというものが一件もない。これは、奇妙である。

 ここから推定されるのは、ほとんどの改ざんが事業主や家族などの役員だけだったということのように思える。そうでなければ、第三者委員会への申請の中に見当たらないというのはおかしい。今後そのようなものが増えてくるというのであれば、それらは即刻回復させるべきだ。産経の報道では、そのようなことを舛添は言ったらしいが、他の報道では全く触れられていなかった。

 各報道機関によってなぜこれほど内容が異なるのか、記者たちのセンスを疑わざるを得ないが、その理由は「この問題を大きくしたい」という願望があるからであろう。140万件の改ざん、と言っても、事業主や役員の記録以外で、どれほどのものがあるのか?意外に少ないのではないか?そういう風に考える視点を記者たちは持つべきである。

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2008年12月 2日 (火)

標準報酬月額改ざん問題(改めて)

 先日、大がかりな組織的関与が明確になったが、民主党以外は余り大騒ぎをしていない。中には紋切り型の社説を掲げるマスコミもあるが、140万件がどうのこうので騒いだ10月初めとは随分変わってきた。私が前から言っているとおり、廃業届(全喪届)が出ている事業所(15万)絡み以外では、それほど多くはないと思われるので、100万件以上が該当すると言っている民主党の主張は根拠がない。

 この廃業届(脱退届というものは厚生年金にはない、廃業届というものもないが労働保険の概念から借用)または休業届の問題では、遡り廃業(遡及脱退)というケースもあるようだ。この場合「消えた年金」の問題が生じている。毎日新聞などが追及している「レセプト違法管理」による「政管健保」の問題はこのケースでしか生じないが、このケースは多くても一社保事務所あたり20年間で200件程度で全部で数千件くらいしかないのではないか。というのも「レセプトの管理」はコンピューターのデータ修正で簡単に済む標準報酬月額の改ざんに比べかなり面倒だったはずだからだ。

 また「遡り廃業」の場合の健保保険料という観点から言えば、国民の受けた損害は、標準報酬の最低ランクに改ざんされたものと大した違いはない。つまり普通の偽装廃業の問題に含めても差し支えない、と思う。ことさらに別種の大問題があるかのような言い方はすべきでない。(但し、年金については、関係者は大声で言うべきであるしそれに反対はしない)

 私が言っているのは、今回の調査委員会の報告に抜けている政管健保保険料についてである。今回の報告で多くは事業主の報酬月額だけが引き下げられたことがわかったが、これについては、年金が減って自業自得という感想がほとんどだろう。しかし国民全体に関係するのは、政管健保の保険料の方であり、これを何とかしてもらわないと納得できない。ほとんどの事業主は行方不明ということになっているが、調べようと思えば調べられるはずだ。なぜならその改ざんにあった事業主本人の(基礎)年金番号は明らかであり、ほとんどが年金を受給しているはずだからだ。そうであれば、その者の年金から国民に返金させるべきである。本当に’蒸発’してしまって年金ももらっていないのならば、諦めるほかないが。

 法律的には難しいのであれば、本人から自主的に返納させる方法なども検討してもらいたいものだ。本人たちも自分の年金が減っているのだから何の問題もないと思っているかも知れないので、世論を大きくすべきである。

 

 

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