「未納が増えると年金制度が崩壊する」は誤り?
細野真宏の「未納・・・・・て誰が言った」という本の中で日経新聞大林尚が揶揄されているのは知っている。細野が参照しているのが権丈善一の考え方だということも同じく立ち読みで理解した。
権丈には年金についての本というものはないので、詳しくはよくわからないが、現制度を批判する側(民主党や大林や西沢)を批判する論点を展開しているようだ。最近では上野千鶴子までその論理に感心して「社民党辻元」にチャチャを入れているようである。
前に取り上げた「盛山和夫」にも同様の論点があったような気がするが、国民年金1号被保険者の未納問題には、権丈が展開した論理だけでは批判尽くせない問題が存在することを忘れるべきではない。つまり「国民年金は加入者の三分の一が払っていない制度でもはや崩壊している」という批判には権丈の批判は該当するし私も同じ立場だが、そのツケのほとんどは被用者年金保険制度から拠出金として持ち出されており、その三分の一(または2009からは二分の一)を負担する国庫負担を増加させていることとともに、年金財政を圧迫していることは明らかだからだ。(詳しく言えば拠出金の単価の計算に未納者が除外されているということ)
だから一般人の常識である「入金額が減れば勘定は悪化する」という真理を信用するべきなのである。盛山や権丈や細野が「未納者には将来の給付がないこと」をもって年金財政に影響がないかのように言うのは、大林たちの「世代間格差の悪しき強調」と同じで、積立金方式の年金の論理を無原則に持ち込んでいるような気がする。つまり年金制度には今現在(正確には前後2年、計4年)しか関係ないということを議論参加者がまず理解すべきだ。そうであれば「未納が増えれば」現今の年金財政は悪化するわけであるから、年金財政のやりくりに悪影響を齎すのは当然で、それを強力に減らす努力が求められることに異論はでないはずだ。
一方で西沢や大林たちがこの基礎年金拠出金の構造を理解した上で立論しているにも拘わらず、3号被保険者の問題を「世代間格差問題」の後景に追いやっていることに憤りを感ずる。というのは3号被保険者の人数は厚生年金や共済年金に加算されて拠出金が算出されているからである。もちろん国庫負担がいままででも三分の一ほどあったわけであるから、被用者年金加入者がすべてそれを負担していたというわけではないが、3号被保険者分は国庫が負担することを明確にすべきであったろう。例えば8割は国庫、2割は被用者年金としてもよい。そして被用者年金はその負担を3号被保険者を持つ配偶者に負担させるという考えを取るべきではなかったろうか?
この問題は大林の主張するように基礎年金を全額消費税でまかなえば解決されるから、彼も取り上げていないのかも知れない。しかし86年からその時点まで根拠もなく負担させられてきた、被用者年金の単身加入者や共稼加入者はどう救われるのだろうか?大林に聞いてみたいところだ。(冗談)
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