高齢者の貧困率は高まっているのか?
標題について調べていると、これについても民主党小沢のウソ八百が目に入ったのでそれに論及することとする。
上村敏之ら編「検証格差拡大社会」によると、小沢が民主党委員長になって消費税増税への言及をやめたころの国会質問にこういうのがあったらしい。
「所得、雇用、教育、福祉など、あらゆる面で格差が拡大し、地域間、企業間、個人間の格差は、もはや個人の努力ではどうしようもないほど広がってしまいました。勤労者の三分の一は非正規雇用であり、サラリーマンの四人に一人は年収二百万円以下、四世帯のうち一世帯は預貯金が全くないという惨状であります。」(2007年1月29日)
私が問題にするのは、「預貯金」の部分である。3年ごとに行われている国民生活基礎調査(厚労省・調査本体は毎年)のうちの貯蓄額調査(2004)によれば、貯金なしの世帯は9.4%である。年齢別で最高の29歳以下でも18.0%であり、25%を超えるものなどありはしない。
上記小沢の言葉のうち、「預貯金」の部分がなかったとしたら迫力が半減したのは間違いのないところだから、小沢が何らかの調査からデータをくすねてきて(一応根拠を確保して)政治的印象を増幅させるために展開した主張だったと思う。政府側からの反論もあったのかも知れないが、それに関係なくこの言葉は国民の中に生き続けたような気がする。ところが実際にはそうではなかったのだ。
貯蓄額があるかないかが問題であるのは、65歳以上の世帯である。更に、その世帯では、貯蓄額100万以下ではないのと変わらないと言える。それではこれら高齢者世帯で貯蓄額100万以下の比率はどう変わってきたのだろうか。
95年 28.5%
98年 26.8%
01年 16.1%
04年 18.4%
07年 19.8%
確かにゼロ年代には比率が上がってきており、2010年に行われる調査結果が待たれるところではあるが、90年代に比べて良化したともいえないこともない。少なくとも貯金ゼロ世帯がどんどん増えているというようなことは、全世帯的にも言えないのである。
後期高齢者医療制度に反対するため共産党や民主党が持ち出した、高齢者世代の困窮化などというものはこれを見ても根拠のないものだったことがわかる。もちろん、困窮化している人もいないわけではないが、その人たちが苦しいからといって、制度全体を批判することなどできるわけがないのだ。
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